家具塗装のお話
ラッカー
ニトロセルロースラッカー(硝化綿ラッカー)は、一般にラッカーと言われ古くから高級家具用塗料として使用されてきました。
ラッカーは、木材の主成分である、セルロースを溶剤に溶解するように変化させたニトロセルロースを主成分として、アルキド樹脂やアクリル樹脂、可塑剤等が加えられた塗料である。
乾燥の機構は、セルロースの溶液が塗布されると溶剤が揮発し、かなりの硬さと強靱性のある透明な塗膜を残す。

【塗料の特徴】
◆長所
@乾燥が速く、作業性がよい
A補修が容易である
B刷毛塗り、スプレー塗装が比較的容易である。
Cしっとり感のある美しい仕上がり
D塗り重ねに時間をおいても、密着性がよい
E安価であり、塗料調合しても長く使用できるので塗装コストが安上がりである。

◆短所
@溶剤を揮発させるだけの乾燥機構のため、耐シンナー性がない。
A耐湿熱性、耐候性に劣るため、屋外や左記性能を求められるような塗装には不向き。
B耐シンナー性がない性質上、反応型塗料(ポリウレタン、ポリエステル等)の下塗りには適さない。  
 
 酸硬化型アミノアルキド樹脂塗料
アミノ樹脂は開発当初、硬いということで使用されていたが、割れが発生しやすいという欠点があったため、改良のためにアルキド樹脂を混合し現在のアミノアルキド樹脂塗料が出来た。
金属塗装においては焼き付けにより塗膜硬化させるが、木材塗装においては酸により硬化させる。いわゆる酸硬化型である。この硬化剤には、大別して、塩酸とPTSの2種類がある。塩酸は揮発性のため、硬化乾燥後に塗膜中に残らず、耐クラック性、速乾性、安価等の利点が有るが、塩酸による腐食作用で鉄などが錆びるため塗装機を使用する場合は注意が必要である。これに対して有機酸であるPTSは、金属に対しての発錆作用が少ないため機械塗装の場合には、こちらを用いることが多い。

【塗料の特徴】
◆長所
@塗料の調合後の塗装可能時間が長い。(24時間〜72時間)
A装後は速乾性なので作業性がよい
B肉持ち、光沢に優れている。
C塗装表面の高度が硬い
D他の塗料に比較し安価である
E耐薬品性、耐汚染性に優れている。

◆短所
@硬化乾燥中にホルマリンが発生し、悪臭として出る。
A耐クラック性がポリウレタン塗料に対して弱い。
B耐水性がポリウレタン塗料に比較し弱い。
 
 二液型ポリウレタン樹脂塗料
この塗料は、主剤と硬化剤のイソシアネートが反応して、塗膜を形成する塗料である。主剤側のポリオールは大別して、ポリエステルポリオール、アルキドポリオール、アクリルポリオールの3種があり、用途によって使い分けられる。また、硬化剤側のイソシアネートにも、黄変しやすい・黄変しにくい・黄変しないタイプがあり、主剤側との合わせにより極めて多くのタイプの塗料が得られ、幅広い用途に使用されている。

【塗料の特徴】
◆長所
@光沢、肉持ちがよい。
A強靱で付着性に優れた塗膜
B耐候性がよい
C乾燥性に優れている

◆短所
@塗料調合後の塗装可能時間が短い
Aアミノアルキド塗料に比較し高価である
B硬化材剤のイソシアネートは、単体で水と反応をするため、取り扱いに注意が必要
 
 不飽和ポリエステル樹脂塗料
美しくぴかぴかと光り輝き、鏡のような歪みのない映像を映しだしてくれる塗装の仕上げには、不飽和ポリエステル塗料が使われていることが多い。この不飽和ポリエステル塗料は、一般的に「ポリ」と言われることが多く、品位のある高級仕上げとして親しまれています。
この塗料の乾燥機構は、ラッカー、ウレタンと異なり、化学的なラジカル重合によって硬化し、常温ではほとんど揮発する物質がなく、塗装時そのままの状態で塗膜を形成する為、数100μの厚塗りが可能です。
塗装時には、ポリエステル樹脂にスチレンモノマーを加えた物に硬化剤である有機過酸化物、それに促進剤であるナフテン酸コバルトをそれぞれ加え、硬化させます。

【ポリエステル塗料の空気の遮断方法】
ポリエステル塗料は、硬化させるときに空気から塗膜自体を遮断する必要があります。
その遮断方法に大きくは2種類あり、遮断方法の違いで塗料自体も2つのタイプが存在します。

【塗料の用途と特徴】
◆用途
中塗りから上塗りに使用される。
その肉持ちを利用し、主には中塗りに利用される場合が多いが、ポリエステル塗料をバフ磨きをする事で艶を出し、上塗りとする例もある。(ピアノ塗装)
 各種塗料の性能比較表
 
 ホームページに戻る